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執筆者の写真Kazushi Motomura

【海外ニュース】2024年12月【衛星リモートセンシング】

更新日:1月7日

2024年12月の海外の衛星リモートセンシング関連ニュースをピックアップしてみました。

もしよろしければYoutubeもご覧ください。



要約

  • 中国は海洋監視SAR衛星を打ち上げ、UmbraはNROとの契約を延長、Muon Spaceは気象データの軍事利用を評価する契約を獲得しました。

  • DLRはConstellRと協力協定を結び、MaxarはSatellogicと提携しバーチャルコンステレーション戦略を強化しました。

  • NROの低軌道衛星は100機を超え、ペンタゴンは中国の宇宙開発の進展を警戒、Maxarはアジア太平洋地域でインテリジェンス契約を獲得しました。

  • ICEYEは資金調達に成功しSAR衛星コンステレーションとISRプラットフォームを拡充します。


ニュース一覧

ニュースのポイント

  • 中国がリモートセンシング衛星「海哨1号(Haishao-1)」を打ち上げ

  • CASICのロケット” Kuaizhou-1A”で打上げ

    • 海洋監視を目的とした政府系Xバンド合成開口レーダー(SAR)

    • 高度350㎞(比較的低軌道)

    • 空間分解能:1m未満

    • 傾斜軌道(43度)


  • 契約の財務条件は非公開

  • 2022年からNROの「戦略的商業強化」イニシアチブの下で協力

  • NROは2022年に複数のSAR企業(Capellaなど)と調査契約を締結


  • Muon Space

    • カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置く宇宙スタートアップ企業

    • 2021年設立、2023年6月に最初の衛星「MuSat-1」を打ち上げ

    • Muon Spaceは、Earth Fire Allianceと提携し、 低軌道上に「FireSat」光学衛星群を展開予定

  • アメリカ宇宙軍から290万ドル(約4億円)の契約を獲得

    • 契約はSmall Business Innovation Research(SBIR)フェーズ2の一環

    • Muon Spaceの衛星技術(雲観測等)が軍事用途に適用可能か評価する目的


  • Constellr

    • ドイツのスタートアップ企業で、熱赤外線データに特化

    • 熱赤外線衛星を開発

    • 2023年に1700万ユーロの資金調達を実施しており、HiVEコンステレーションを計画中

  • Constellr社は、DLRと複数年契約を締結し、30m空間分解能の熱赤外線画像を提供

    • 契約金額は非公開

    • 提供されるデータは、農業モニタリングや都市計画、気候変動研究などに活用


  • MaxarはSatellogicと独占的なパートナーシップを締結

    • MaxarはSatellogicの衛星コンステからの画像のタスキング、収集、配信を行う権利を取得

  • Maxarの「バーチャルコンステレーション」戦略

    • 複数のパートナーの衛星や地上セグメントシステムを統合し、包括的で柔軟なソリューションを提供

    • SatellogicはSAR衛星を保有するUmbraとともに、このバーチャルコンステレーションに参加


  • 2024年12月17日、スペースXのファルコン9ロケットがカリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からNROL-149ミッションを成功裏に打ち上げ

    • これはNROの新たなプロリフェレイテッド・アーキテクチャ計画(PWSA)における6回目の打ち上げであり、2024年の最終ミッション

    • この打ち上げにより、NROの低軌道上の衛星数は100機を超え、新たな節目を達成

    • NROは従来の大型衛星から、PWSAに基づき小型衛星を多数展開する方針で、今後も2028年までにコンステレーションの拡大を計画

    • これにより、耐性とカバレッジの向上、そして対衛星兵器に対する脆弱性の低減を目指す


  • 2024年12月18日、アメリカ国防総省は「中国の軍事および安全保障に関する年次報告書」を発行し、中国の軍事近代化の加速を強調

    • 中国は人工知能(AI)、ビッグデータ、宇宙技術を統合した「マルチドメイン精密戦争」戦略を採用し、米国および同盟国の軍事力に対抗する能力を強化

    • 中国の宇宙能力は急速に拡大しており、2010年には36基の衛星を運用していたが、2024年には1,000基以上に増加し、そのうち360基以上が情報収集、監視、偵察(ISR)任務に従事

    • 「マルチドメイン精密戦争」戦略を採用し、AI、大量データ、宇宙技術を統合して高度に協調された軍事作戦を実施


  • Maxarは、アジア太平洋地域の2つの政府機関(非公開)と、衛星画像および分析サービスを提供する総額3,500万ドルの契約を締結

    • 契約した政府は、Maxarの新たに展開されたWorldView Legion衛星からの高解像度地球観測画像と、パートナー企業であるUmbraの合成開口レーダー(SAR)データにアクセス可能

    • これらの契約は、顧客が自らの地上局を通じて衛星のタスキングを行える「ダイレクトアクセスプログラム」が含まれる

    • 顧客は、撮影イベントの15分前までに画像取得をリクエストし、リアルタイムでデータを受信可能


  • 2024年12月18日、ICEYEは4月に発表したシリーズEラウンドに6,500万ドルを追加し、総額1億5,800万ドルの資金調達を完了

    • 今回の調達により、累計資金調達額は5億300万ドルに達した

    • 調達した資金は、SAR衛星コンステレーションや情報・監視・偵察(ISR)プラットフォームの拡充に充てられる予定

    • 12月21日には、新たに2機のSAR衛星を打ち上げ、中緯度地域の観測能力を強化


所感

  • 中国はかなりの地球観測衛星数を保有。米国同様、AIを重要視。

  • UmbraおよびMaxar周辺の動きは要注目。

    • Maxarのバーチャルコンステレーション戦略は、UmbraとSatellogicの加入により一大勢力。

    • Maxarはアジア太平洋地域でも契約を獲得し、これまでにない存在感。

  • 赤外センサの打上げラッシュがきそう。

  • ICEYEレベルでもまだ資金調達が必要なのは意外。

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