2024年12月の海外の衛星リモートセンシング関連ニュースをピックアップしてみました。
もしよろしければYoutubeもご覧ください。
要約
中国は海洋監視SAR衛星を打ち上げ、UmbraはNROとの契約を延長、Muon Spaceは気象データの軍事利用を評価する契約を獲得しました。
DLRはConstellRと協力協定を結び、MaxarはSatellogicと提携しバーチャルコンステレーション戦略を強化しました。
NROの低軌道衛星は100機を超え、ペンタゴンは中国の宇宙開発の進展を警戒、Maxarはアジア太平洋地域でインテリジェンス契約を獲得しました。
ICEYEは資金調達に成功しSAR衛星コンステレーションとISRプラットフォームを拡充します。
ニュース一覧
# | 日付 | タイトル |
1 | 2024年12月4日 | |
2 | 2024年12月4日 | |
3 | 2024年12月5日 | |
4 | 2024年12月9日 | |
5 | 2024年12月11日 | |
6 | 2024年12月17日 | |
7 | 2024年12月18日 | |
8 | 2024年12月19日 | |
9 | 2024年12月27日 |
ニュースのポイント
中国がリモートセンシング衛星「海哨1号(Haishao-1)」を打ち上げ
CASICのロケット” Kuaizhou-1A”で打上げ
海洋監視を目的とした政府系Xバンド合成開口レーダー(SAR)
高度350㎞(比較的低軌道)
空間分解能:1m未満
傾斜軌道(43度)
契約の財務条件は非公開
2022年からNROの「戦略的商業強化」イニシアチブの下で協力
NROは2022年に複数のSAR企業(Capellaなど)と調査契約を締結
Muon Space
カリフォルニア州マウンテンビューに拠点を置く宇宙スタートアップ企業
2021年設立、2023年6月に最初の衛星「MuSat-1」を打ち上げ
Muon Spaceは、Earth Fire Allianceと提携し、低軌道上に「FireSat」光学衛星群を展開予定
アメリカ宇宙軍から290万ドル(約4億円)の契約を獲得
契約はSmall Business Innovation Research(SBIR)フェーズ2の一環
Muon Spaceの衛星技術(雲観測等)が軍事用途に適用可能か評価する目的
Constellr
ドイツのスタートアップ企業で、熱赤外線データに特化
熱赤外線衛星を開発
2023年に1700万ユーロの資金調達を実施しており、HiVEコンステレーションを計画中
Constellr社は、DLRと複数年契約を締結し、30m空間分解能の熱赤外線画像を提供
契約金額は非公開
提供されるデータは、農業モニタリングや都市計画、気候変動研究などに活用
MaxarはSatellogicと独占的なパートナーシップを締結
MaxarはSatellogicの衛星コンステからの画像のタスキング、収集、配信を行う権利を取得
Maxarの「バーチャルコンステレーション」戦略
複数のパートナーの衛星や地上セグメントシステムを統合し、包括的で柔軟なソリューションを提供
SatellogicはSAR衛星を保有するUmbraとともに、このバーチャルコンステレーションに参加
2024年12月17日、スペースXのファルコン9ロケットがカリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からNROL-149ミッションを成功裏に打ち上げ
これはNROの新たなプロリフェレイテッド・アーキテクチャ計画(PWSA)における6回目の打ち上げであり、2024年の最終ミッション
この打ち上げにより、NROの低軌道上の衛星数は100機を超え、新たな節目を達成
NROは従来の大型衛星から、PWSAに基づき小型衛星を多数展開する方針で、今後も2028年までにコンステレーションの拡大を計画
これにより、耐性とカバレッジの向上、そして対衛星兵器に対する脆弱性の低減を目指す
2024年12月18日、アメリカ国防総省は「中国の軍事および安全保障に関する年次報告書」を発行し、中国の軍事近代化の加速を強調
中国は人工知能(AI)、ビッグデータ、宇宙技術を統合した「マルチドメイン精密戦争」戦略を採用し、米国および同盟国の軍事力に対抗する能力を強化
中国の宇宙能力は急速に拡大しており、2010年には36基の衛星を運用していたが、2024年には1,000基以上に増加し、そのうち360基以上が情報収集、監視、偵察(ISR)任務に従事
「マルチドメイン精密戦争」戦略を採用し、AI、大量データ、宇宙技術を統合して高度に協調された軍事作戦を実施
Maxarは、アジア太平洋地域の2つの政府機関(非公開)と、衛星画像および分析サービスを提供する総額3,500万ドルの契約を締結
契約した政府は、Maxarの新たに展開されたWorldView Legion衛星からの高解像度地球観測画像と、パートナー企業であるUmbraの合成開口レーダー(SAR)データにアクセス可能
これらの契約は、顧客が自らの地上局を通じて衛星のタスキングを行える「ダイレクトアクセスプログラム」が含まれる
顧客は、撮影イベントの15分前までに画像取得をリクエストし、リアルタイムでデータを受信可能
2024年12月18日、ICEYEは4月に発表したシリーズEラウンドに6,500万ドルを追加し、総額1億5,800万ドルの資金調達を完了
今回の調達により、累計資金調達額は5億300万ドルに達した
調達した資金は、SAR衛星コンステレーションや情報・監視・偵察(ISR)プラットフォームの拡充に充てられる予定
12月21日には、新たに2機のSAR衛星を打ち上げ、中緯度地域の観測能力を強化
所感
中国はかなりの地球観測衛星数を保有。米国同様、AIを重要視。
UmbraおよびMaxar周辺の動きは要注目。
Maxarのバーチャルコンステレーション戦略は、UmbraとSatellogicの加入により一大勢力。
Maxarはアジア太平洋地域でも契約を獲得し、これまでにない存在感。
赤外センサの打上げラッシュがきそう。
ICEYEレベルでもまだ資金調達が必要なのは意外。
Commentaires